佐々木俊介「模造殺人事件」を読んだ。

模造殺人事件。こんな話。

木乃家の長男・秋人が八年ぶりに帰郷を果たした。大怪我を負ったという顔は一面包帯で覆われている。その二日後、全く同じ外見をした“包帯男”が到着、我こそは秋人なりと主張する。二人のいずれが本物ならんという騒動の渦中に飛び込んだ大川戸孝平は、車のトラブルで足止めを食い、数日を木乃家で過ごすこととなった。日頃は人跡稀な山中の邸に続発する椿事。ついには死体の処理を手伝いさえした大川戸は、一連の出来事を手記に綴る。後日この手記を読んだ進藤啓作は、不可解な要素の組み合わせを説明づける「真相」を求めて、ひとり北辺の邸に赴く。


・・・これを見るとすごい面白そうですけどね。
実際、導入〜中盤は興味を持って読めました。
風呂敷の広げ方は秀逸。わくわくする。
謎が次々と出てきて、これは一体どうなってるんだろう・・・と話に引き込まれる。
ただ、その広げた風呂敷の畳み方がもう少しな感じがした。
何だろう、何か物足りない。
前半で構築したこの小説の独特の雰囲気が活かされないで終わってるというか。
ちょっと解決編が長く感じられたのは、
もう少し工夫がほしかったというところでしょうか。


探偵役の人が屋敷へ乗り込む場面はわくわくしましたけどね。
現代に生きている人が、
過去の世界(そこだけ次元が違うような世界)へ入っていくような感覚で。


まあでも最後まで面白く読めたと思います。
もう一冊出ているらしいので、それも機会があれば読んでみたいと思うし。
まあ「神様ゲーム」の方が個人的には面白かったけどね。
期待どおりではあったけど、期待以上ではなかった、そんな感じでした。